「デジカメ教室・浜松天神蔵」報告

 

去る9月24日に開かれたセミナー「デジカメ教室・浜松天神蔵撮影会」の報告をします。当日は予定通り朝9時頃からパソコンをセットアップし9時半頃からセミナーを開始しました。
参加者は6人と少し寂しい人数でしたがこの種のセミナーの理想形はマンツーマンであることを考えれば「まあこれもいいか!」といったところです。
ただ2時間という時間はいかにも短過ぎ、駆け足であったという感は否めません。もう少し時間をかけてじっくりと行う機会がまたもてればと感じました。どれだけの成果があったかは良くわかりませんが、以外に簡単に日頃見かける複雑そうな画像が出来る事がわかってもらえれば良かったかなと思います。

当日使用したソフト PhotoshopElements2.0
          ※30日使用可の体験版が有りますので希望者は連絡ください。
圧縮解凍ソフト   +lhaca  若しくはlhacaデラックス
          http://www.vector.co.jp/vpack/browse/person/an019841.html
          にあります。当日は時間が無く操作の仕方は出来ませんでした。


浜松天神蔵のメインとなる建物は明治40年頃に建った酒蔵です。浜松は昔からいろいろな工場があったり、飛行場があった関係で第二次大戦で空襲を受け昭和20年4月の大空襲で一帯焦土と化したのだそうです。その中でかろうじて一棟残ったのが現在のこの建物です。終戦後は大いに酒蔵として活躍し昭和40年のピーク時には3000石の醸造高を誇っていた言う事です。ちなみに一石は一升瓶100本分の量です。左は蔵の内部です。腕の悪い人はちゃんと三脚を使って撮らなければ確実にぶれますという見本のような写真ですが大体の様子はわかると思います。酒蔵であったため天井は高くゆったりした空間を形成しています。こまかいところはともかく大体は建築当時の材料が残っていて百年余りの時間が醸し出すおおらかな雰囲気で落ち着いた気持ちに慣れます。一般的に古い民家などの構造材は内部で火を焚いた関係で黒っぽい事が多いですがここの場合そういうことが無かったせいか木本来の色を残しています。


大きなスパンを飛ばしている2階床梁は丸太の太鼓落し、柱径は2尺余りあったでしょうか。利き酒に気をとられよく見てきませんでした。(.#´д`)
現在1階はお酒の販売の店舗とレストラン、2階はギャラりーやその他コンサートなどの催しのためのスペースとして利用されています。前日にも(23日)にも落語の寄席が開かれこの日は25日から始まる耳塚さんという地元の作家の方の作品の搬入が行われていました。浜松という地理的な条件から豊橋の作家の方の利用も多いということです。一日1万円というレンタル料(ただし3日以上)も手ごろですからそう言う場を探して利る方はいかがでしょうか。遅れましたがこの建物は浜松や静岡県の「景観賞」をとった建物です。



当日はこの天神蔵の責任者である内山さんが天神蔵について説明してくださいました。何十年もこの酒蔵「浜松酒造」に務めてこられて天神蔵については立ち上げ時から関わっておられるそうです。日本酒の事のみならずいろいろなお話しを聞かせていただくことが出来ました。その主な内容です。

1)天神蔵設立について

天神蔵は前記したように長く酒蔵として機能してきた建物です。しかし西側道路拡幅の問題や蔵の老朽化の問題により使われなくなっていました。「天神蔵」としてリニューアルするまでは倉庫としてしか使われていなかったそうです。平成8年頃からこの蔵をどうするかという問題が話し合われ最終的には今のような形で残すという事になったそうです。もっとも当初は利き酒の会場くらいにしか使われていなかったそうですが徐々に新しいスタイルを加え現在の形になったそうです。この改修には2人のデザイナーが関係し一人は建築デザイナー、もう一人は工業デザイナー方が関わっておられるそうです。

2)天神蔵設立の背景

近年日本酒のシェアーはかつてに比べるとかなり落ちてきているのだそうです。確かにお酒といえば日本酒の事を言っていた時代は当の昔に終わり今はビールだ発泡酒だワインだと百花繚乱の近頃です。そんな中でこれ以上日本酒のシェアーを落とさないために多くの人に日本酒のよさを知って欲しい。その一環として「より開かれた日本酒のための施設」の理念のもと「天神蔵」設立となったという事です。

3)杜氏について

現在天神蔵では東北から南部杜氏を招き酒造りを行っているそうです。初め聞いたときは意外に思いましたがこのシステムは一般的な事のようです。東北地方の農家の人が冬場の仕事として「杜氏」になり全国にその季節になると散らばってゆく訳です。そんなことがここ http://www.shokokai.com/ishidoriya/html/h03.htm に楽しく説明してあります。
天神蔵では10年来同じ方に来てもらっていて「金賞」受賞という名誉を手に入れられた訳です。酒は生き物と言いますがやはり杜氏の方によって同じ米、同じ水、同じ施設を使っても出来る酒は微妙に違ってくるそうです。さらに蔵元との関係も影響し良い関係を保てないとお酒もおいしいものが出来ないと言われていました。このあたりは私たちの仕事のみならず万事に通じる真理なのかもしれません。近年契約している杜氏の方も高齢になったため自分のところでなんとか杜氏を育てたいとおしゃっておられました。

3)催しについて 

前記したように2階はギャラリーとして使われていますが多く利用してもらう理由として天神蔵の古い建物の魅力が有るのではないかといわれていました。長い年月を経てきた建物の寛容さからなのかどんな作品も不思議ない合うということです。さらに作品によれば、この空間に置く事によって新たな面を発見する事もあると言われる作家の方もおられるそうです。蔵側として展示のないように制限は無いそうなので発表の場を探している方はいかがでしょうか。音楽関係でも構わないそうです。

左の写真は地元の作家の耳塚さんという方の作品搬入風景です。すでに壁には展示してあります。
期もせず耳塚さんとお話しでき盛り上がっておりました。


清酒工場見学

今は清酒の製造と言う意味ではシーズンオフと言う事でしたが、その工場を見学させていただくことができまし
た。オフとはいえ内部には日本酒のかおりが漂っていました。左が工場内部の写真です。ここは2階にあたり、タンクの上部だけが顔を出しています。一つのタンクで6500リットルあまり入るそうですから一升瓶に換算すると3600本分くらいでしょうか。大吟醸などの特別なお酒は別の場所で造っているそうです。大吟醸と言うのはお米をけずる割合が50パーセント以上のものらしいのですがここでは55パーセント削る(45パーセント残る)と言う事です。そうして造られたのが金賞をとった「大吟醸」です。


記念写真

最後にレストランの中で記念写真を撮りました。わかりにくいですが「船」をバックにしています。船と言うのはお酒を絞るための箱で厚い板で出来ています。みんなの前にあるテーブルもその内の一つを利用して作られています。ここには写真がありませんが丸いテーブル(8人が囲める位の大きさ)がいくつかありそれも樽を利用して作ったと言う事です。そういった再利用は建物内の随所に見受けられ「何に使われていたのだろう?」と想像するのもまた楽しいと思います。地理的にも近いのでぜひ一度訪ねられると良いと思います。

天神蔵  http://www.tenjingura.com/index.htm