研修旅行レポート 2013

伊勢 歴史&芸術を巡る旅

 

去る11月27日28日の両日MICCの研修旅行が行われました。
今回の訪問先は伊勢神宮を中心に池田満寿夫氏の作品をメインに展示してある菰野町のパラミタミュージアム、そして旅行の数日前にオープンしたばかりの温泉とレストランの複合施設アクアイグニス、建築家内藤廣氏設計で日本建築学会賞を受賞した海の博物館です。

さて当日は名古屋集合。今回は少人数という事や行き先が近いという事も有りリラックスした雰囲気の中出発となりました。
最初の訪問先はパラミタミュージアムです。ここは前記のように芸術家池田満寿夫氏の作品をメインに展示してある美術館です。

池田満寿夫はヴェネツイア・ビエンナーレ展版画部門の国際大賞を受賞するなど国際的に知られた芸術家ですが63才で亡くなっています。
この美術館には晩年打ち込んだ般若心経をテーマにした陶芸が多数展示してありました。
その大胆な造形と仏教のテーマは理屈でなく日本人に何かを訴えかける気がします。
http://www.paramitamuseum.com/top.html

 

次に訪れたのは数日前にオープンしメディアでも話題になっていた、温泉施設、宿泊施設、レストラン、スイーツショップ、などの複合施設アグアイグニスです。
今回残念ながらレストランを利用することは出来ませんでしたが少し前までは畑が広がっていたであろう場所に現れたモダンな施設の魅力の一端に触れることは出来ました。
訪れたのは平日にもかかわらずまた雨のちらつくあいにくの天気にもかかわらずたくさんの方が訪れていました。レストランの予約が取れなかったことでもその人気がうかがえると思います。

 

そのロケーションは御在所のふもとに位置し施設の裏手に山々を望むことができます。
モダンな造形の建物ですが違和感は感じませんでした。
三河地方からならちょうど良いドライブの距離です。一度足を運ばれたらどうでしょう。
http://aquaignis.jp/

初日最後に訪れたのは鳥羽市の海の博物館です。内藤廣氏は42才の時のこの作品で日本建築学会賞を受賞し、その後も次々と話題の建物を設計しつづけ日本を代表する建築家の一人といわれる様になりました。いわば記念碑的な作品といえます。
過去にMICCで訪れた「いわさきちひろ美術館」「リバーリトリート雅樂倶」もこの後の作品です。

 

 

博物館の建物は森の中に位置しいくつかの棟から構成されています。建物自体はどの棟もシンプルな力強いフォルムを持った木造の建築です。木造といってもほとんどは構造用集成材によってこの大空間を生み出しています。
内部の展示は鳥羽の産業である漁業の歴史、海女の歴史など興味深い資料も数多く有ります。
ダイビング器具を用いない海女は世界中で韓国と日本だけだそうです。
仕事が終わって小屋の中で楽しそうに談笑している模型はなにか根源的な幸せの姿を垣間見た気がします。
http://www.umihaku.com/index2.html

初日はこの後宿泊先である「ジ・アース」に向かいます。
この宿泊施設は太平洋に面した恵まれた場所にあります。しかも廻りには何の建物もなく別世界に来た感があります。宿に入った時にはすでに日が暮れていたのですが山の上から向かう車の窓から見えた月、そしてその月に照らされた海の造り出す幻想的な情景は忘れられません。

 

 

宿はこじんまりしたたたずまいではありますがタクシーの運転手も良い宿だといっていたように落ち着いた気持ちの良い施設でした。館内は裸足の仕様で廊下はタタミの仕上でした。
上の左側写真はラウンジ兼バーです。大きな開口部の外には海が広がっています。その距離の近さにびっくりしたのですが窓の外左方向には間近に伊良湖が望めます。
右側写真は男性が泊まった部屋です。そんなに広いとは言えませんがテラスからは昇る朝日が見られました。この部屋以外の客室にも露天風呂があり(こちらの部屋の風呂は屋根があり半露天)露天風呂に入りながら朝日夕日を眺めるというこの上ない至福の時を過ごすことができそうです。

 

食事は懐石でした。ビールにワインにと酔うほどに話しも盛り上がった楽しい一時となりました。食事をした場所は食堂でしたがこの後ロビーに移りしばしの歓談の後就寝。
http://www.the-earth.in/

二日目はいよいよ伊勢神宮参りに向かいますがその前に女性陣は、その昔からこの地方の海女たちが
「女性の願いなら必ず一つは叶えてくれる」といいお参りしていたという石神神社参りに行きました。
男性陣はゆっくり出来た朝となりました。
合流して鳥羽駅より電車で伊勢神宮外宮(げくう)の最寄り駅、「伊勢市」に向かいました。常識かもしれませんが伊勢神宮には内宮(ないぐう)と外宮があり本来外宮を参った後内宮にお参りするのが正しいお参りの仕方のようです。さら厳格に言えば
二見興玉神社―外宮―内宮 の順番が正式だそうです。
また外宮、内宮という神社はなく合わせて125の神社がその中にあるのだそうです。私たちが写真などでよく目にするのは内宮の「正宮(しょうぐう)」です。

というこことでまずは外宮に向かい、ここで、お願いしてあった観光ボランティアの方に説明していただきながらの参拝となりました。
神宮の歴史、参拝の仕方、来年に控えた遷宮のことなどいろいろと教えていただいたのですが・・・・。
ひとつびっくりしたのは遷宮というのは社を移すだけでなくその儀式に使われるいろいろな用具、笠とか宝物入れとかも全て作りかえるのだそうです。ですから建築の技術の伝来だけでなくそれに付随したいろいろな工芸技術も伝来されて来たのだそうです。
それらの事は外宮の入口にある「せんぐう館」で見学することができます。
そして同時ではないけれども鳥居、さらに五十鈴川にかかる橋までも掛け替えるとのことです。ただ橋については隣にかけるのではなく仮橋を架けて同じ場所に作るとのこと。
改めて日本文化の奥深さを実感した同時に誇らしい気持になりました。

 

 

上左側の写真は鳥居の柱に付けてある榊の説明。榊はもとも神社と外との境木だったとの説明でした。
また右の写真は外宮の正宮の入口の前に設けられた壁です。正面からまっすぐ入らず壁を迂回してアプローチするというここでも日本人でないとなかなか理解できないような構成になっています。

せんぐう館と外宮をお参りしたあと内宮へタクシーで移動しました。外宮と内宮は4、5キロ離れています。
内宮でも観光ボランティアの方のお世話になりました。どちらの方も本当に神宮を愛しておられるんだと感じられとても親切丁寧に説明していただきました。

 

 

上の左側の写真は五十鈴川の水で手を清めこれからお参りしようとしたところでの1枚。
訪れたのが11月の下旬ということもあり澄んだ空気の中綺麗な紅葉も見られました。
右の写真は内宮の正宮への階段です。ここに至る参道にはとても立派な杉の大木が何本もありその木々がつくる薄暗い砂利道を歩いていると自然こころが引き締まる気がします。

今年は20年に一度の遷宮の年にあたり毎年行われる10月15日の神嘗祭の他にいろいろな行事が行われます。マスコミでも多く取り上げられると思います。
今までさほど気にもせず見過ごしていましたが少し注意して見てみようかと思わせる今回の研修旅行でした。