「世界の発明王によるアイデアの極意と未来住宅について」

去る1月26日(水)にインテリア産業協会主催による新春講演会「世界の発明王によるアイデアの極意と未来住宅について」
が名古屋メルパルクで開かれました。
講師はテレビなどでもおなじみのドクター・中松創研 中松義郎博士です。

冒頭、中松氏の挨拶の後、ビデオ「Dr中松 in America」の鑑賞です。
アメリカで氏が活躍されている様子が記録されているビデオです。
ニューオリンズ市、ニューヨーク州をはじめ9ヶ所で「中松記念日」が制定されているというようなことも紹介されていました。
最初から異例の展開で少し参加者も戸惑い気味の様子です。

いよいよ講演会は始まりましたがここでも異例の注意があります。
「私の講演ではただ聞いてもらうだけでなく途中でみなさんに質問します。こころしてしっかり聞いていてください。当てる方の第一候補は「寝ている人」第二は「ボーとしている人」第三に「運の悪い人」。聞かれた人はしっかり答える事。」一同「……(^_^;)」

子供のころの話し始めに氏の子供のころの話です。そのころのモノクロ写真が映し出されます。
手には模型飛行機を持っています。
5歳で最初の発明をしたとの説明があります。どうしてそんなことができたかといえば、氏のお母さんは大変に教育熱心で3才から物理、化学、英語を習わせていたのだそうです。そんなおかげで5才で始めての発明を成し遂げる事になります。それに関連した話しで男の子の伸びる伸びないは母親がポイントとの説の話がありました。男の子は母親に似る。女の子は父親に似る。だから男の子は母親が重要なんだということです。だからどうすれば・・・。

今、東亜化学と中村教授の話が話題ですが発明の出発点は「愛」だと氏はいわれます。「中村さんの事が話題でその件で私にも取材が来たりしてコメントを求められますが、私は発明はお金のためではなく「愛」のためと思います。中学2年生の時灯油ポンプを発明したのだけれどどうしてそれが発明できたかといえば、ちょうどそのころ母が腰を曲げて石油ストーブに灯油を苦労しながら注いでいたのです。それを見て、その大変さを少しでも楽にしてあげたいそんな想いから、今みなさんも使っておられる灯油ポンプを発明したのです。」

フロッピーデスクの話し

フロッピーデスクは氏がまだ東大の学生のころに発明されました。氏は音楽が好きで当時ベートーベンの第5をよく聴いていたのだそうです。そのころは蓄音機で聴くわけですが、蓄音機は重くそしてレコード盤自体もとても扱いにくい物でした。そこで何
とかレコードに変わる記憶媒体ができないかと研究して完成させたのがフロッピーデスクだったのです。ただこの発明が、日の目を見るのには25年という長い年月が掛かりました。発明当時いろいろな国内のメーカーに持ち込んだのですが相手にされず
やっと買ってくれたのがIBMだったわけです。
ところでフローっピーデスクの名前の由来をこの日の受講者に質問されました。特に寝ていた人もボーとしていた人もいなかったので運の悪い人が何人か当てられました。

その時の問答

受講者:デスクというくらいだから…・
中松氏:デスクじゃなくフロッピーの意味だよ。
受講者:わかりません。
中松氏:わかりませんは1番だめな答えだな。なにも考えていないということだね。

フロッピーの名前は当時戦争で防空壕に隠れるわけですがそのときその発明品も持って隠れたのだそうです。それでその中で蓋を開けるとそのなかから2匹の蝶が飛び立ちました。そこからこの発明はフロッピーデスクと名づけられました。
フロッピーには「蝶」という意味があるという説明でした。

中松ハウスの事

今、氏は東京に「中松ハウス」なる家を建設中です。地上7階ということなのでハウスというイメージとは少し違う気もしますがとにかく「東京の高級住宅地 学芸大 あたり」に作っているということです。講演の次の日、27日(木)が竣工予定だそうで「こんなところで講演をしている場合ではない」と何度もおっしゃていました。結構うけていました。
本当かなーという気もしますがその家では電気、ガスを使わないという事です。
それでは何がエネルギー源かというと宇宙エネルギーだそうです。それ以上の説明はなかったのでよくわかりませんが模型の写真にはソーラーのようなパネルが有った気がします。その時の話しの中に便器の話しがありました。
「普段なにげなく便器に座っているけれどどうしてああいう形でなければいけないか考えた事がありますか。今回は300人の人にモニターになってもらいその排泄の様子をビデオに記録しそこから便器のあるべき姿を追求しました。その時大便は、小便はどのように出
てくるのか研究することが便器を作る第一歩です。それは便器に限らず何にでもいえる事で既成のもものを疑問も持たず受け入れるという姿勢は正すべきです。」300人のモニター募集の話しですが日本の大学で学生の協力を募ったところまるで集まらなかったのですが、アメリカで同じように声を掛けたらあっという間に集まったそうです。排泄という行為に対する考え方がとても違うのかもしれません。そういう意味ではその意識の違いも形にしなくてないけないのかもしれません。

撰難楽

人生の生き方として氏は「撰難楽」をモットーとしておられるという話しがありました。人はとかく楽な生き方を選びたがりますが、道が二股に分かれどちらかを選ばなければいけないとき、氏は必ず困難な方を選ぶのだそうです。そしてここからがなかなか出来ない事ですがそれを楽しむのです。そんな生き方をいままでしてきたといわれていました。気持ちの持ちようで困難も楽しく対応するということですが凡人にはなかなか…。

ホワイトブレーン

脳の組織の中でホワイトブレーンという部分がその中にどう知識をすりこむかで将来に大きく影響するという話しが有りました。それは幼児のころ現れ7才位で消えてなくなるそうです。
子供を優秀にしようと思う人はそれくらいの時から鍛えると効果があるという話しです。子供が間に合わない人は孫にでもといっておられました。

発明は スジ ピカ イキ

発明とアイデア、開発などと同じと思われますが実は全く違うものです。
発明は
1 スジ  -  理論
2 ピカ  - ひらめき
3 イキ  - 実際に使えるように、生かすようにするための作業。

開発は「スジ」だけ。理論を追求するだけの作業。アイデアは「ピカ」だけ。ひらめきを理論だて実際に使えるようにする事が発明で「ひらめき」や「理論」だけでは発明とはいえないと言われます。

今まで経験した講演とは少し違った様子の講演でしたが、やはり何かをやり遂げた人の言葉は重みを持ちます。
何処までが本気で何処からが冗談なのかよくわからない部分も有りましたが随所に納得させられることがありました。
氏は本も何冊か出されていますのでもし興味をもたれた方は読まれたらいかがでしょうか。
講演のあと会員の懇親会私が有ったのですが「明日竣工なのにこんなところでこんなことしてる場合じゃない。」のに最後まで
いらっしゃいました。氏の律儀な面を垣間見た気がします。

先日テレビで中松ハウスのレポートを放映していましたが、建物は住宅地の中にあり3階建て位の感じでした。玄関が変わっていて、扉はついているのですがそれがダミーで宅急便の配達の方も戸惑っている様子。あまり長い放映ではなかったので詳しくはわかりませんでしたが外壁には例の宇宙エネルギーを集めるという黒い外壁材が使われていました。
ただ金色でしたが便器はメーカー品のような気が・・・。

記:藤嶋