研修旅行レポート 2005

去る10月25日(火)26日(水)の研修旅行が無事終了しましたので、その時の様子を紹介いたします。


 

当日な8時45分に豊橋を出発東名、名神高速を走り最初の見学施設である「アサヒビール大山崎山荘美術館」を目指します。大山崎山荘は大正から昭和にかけて建てられた実業家加賀正太郎の山荘です。その後加賀氏の手を離れ荒廃していたのですが、京都府の要請によりアサヒビールが修復し現在美術館として公開されています。修復に際しては新たに安藤忠雄の設計による新館「地中の宝石箱」を増設しています。
 

左はパンフレットです。今回は早すぎましたが、間わにには紅葉がたくさん植えられその季節にはこんな景色が見られるんだろうと思います。


山崎山荘全景

山荘は山の中腹にありJR山崎駅より徒歩で10分くらいの所に位置します。行きはほとんど上り坂のため駅より送迎バスが用意されていました。
建物はイギリスのチューダー様式をもとに設計されています。
下は見学前の昼食風景。

このあたりは羽柴秀吉が明智光秀を討った「天王山の戦い」で有名な天王山です。
アプローチは林に囲まれた上り坂。期待に胸ふくらむ演出です。


 

今回は総勢16人の参加です。そのうち男性5人で、いままででは最多です。
(美術館の玄関での記念写真)


安藤忠雄設計の新館部分。敷地の高低差を利用して土の中に埋めている。規模はそれほど大きくなくモネの睡蓮など4、5点が展示してありました。本館では濱田窯三代の陶芸展が開催されていました。

大山崎山荘美術館の見学が終わったらこの日の宿泊地である宇治に向かいました。宿は宇治川河畔にある「花やしき浮舟園」。宇治というと観光地なので宿なども多いような気がしますが次の日に観光ボランティアの方に聞いた話では宇治に2軒しかないとの事、びっくりしました。目玉が平等院しかなく立地的に京都市街と奈良の中間あたりにあることなどから平等院を見学した後どちらかに泊まるというパターンが圧倒的ということでした。


宿に入る前に見学した黄檗宗萬福寺。17世紀半ばに建立された日本三禅宗(臨済宗、曹洞宗、黄檗宗)の一つ黄檗宗の総本山です。写真ではわかりにくいですが少し中国風の大きな寺でした。隠元豆の名前のもとになった隠元禅師など中国の名僧がその歴史に名を連ねています。


今回はオーソドックス日本旅館スタイル


二日目の朝は純日本風の朝食で始まります。
その前に近くにある宇治上神社の見学に行かれた 方もいたようです。宇治上神社の三つの内殿をもつ本殿は国宝に指定されています。また左右の蟇股(かえるまた)も非常に貴重なものだという事です。
左写真は朝食風景。食堂の前には宇治川と対岸の風景が広がります。

観光ボランティアの方の案内で宇治川の中洲を歩きながら平等院へと向かいました。今でこそ穏やかな流れですが鎌倉時代はとても急で渡る事さえ大変だったとの説明がありました。そしてこの川にまつわるいろいろな昔の話を聞かせていただきました。それにしても以前のセミナーでもお世話になりましたがこういった方々のおかげで見学がより深いものになります。感謝


 
これがあの平等院です。
平等院は1052年に関白藤原頼道によって開創され鳳凰堂は阿弥陀如来を安置する阿弥陀堂として建立されたものです。やはり千年近くの時の経過は隠せませんがその堂々としたたたずまいに息をのみます。
参加者全員で記念写真。

平等院を外部から見学した後はその内部に有ったものを展示している平等院ミュージアム「鳳翔館」を見学しました。この建物は展示室のほとんどを地階に置き廻りの雰囲気を乱さない設計になっています。設計は岡崎美術博物館でもおなじみの桐生明氏です。

鳳凰は鳳翔館にあるものが本物で現在屋根にあるものはレプリカです。錆による劣化のため退避してあります。

左:地下エントランス  右:ミュージアムショップ前ホール


平等院見学が終わったら一路京都市内へ。着いたらすでにお昼時。見学よりは腹ごしらえと一同見学先の「古今烏丸」に着くなりレストランへ。左は地下にある中華レストラン「老香港酒家」での食事の様子です。結構豪華。京都市内での見学はこのあと訪ねた「唐長」さんの都合で2班にわけて行われました。

右は食事のあと見学した呉服屋さん「四君子」。明治4年に建てられた建物を改築したものでこういった建物が街中に残っているのが京都の魅力です。もともとは鉄鋼問屋さん。豪華なケヤキの一枚いたの廊下など当時の隆盛を忍ばせます。

今回最後の見学先は両替町の「唐長」インテリアサロン。室町時代からほとんど変わらぬ技法で現代も作られています。京都御所を中心に何十件かもともと唐紙やさんが有ったのですが蛤御門の変でほとんど焼失してしまい今残っているのはこの「唐長」さんだけだということです。唐長さんでは江戸から大正までに作られた版木600枚余りが今も使われています。1978からの桂離宮の大修理にも従事されています。

唐長インテリアサロンはマンションの1階にあるこじんまりしたショールームです。こちらでは唐長第11代目千田堅吉さんの夫人、千田郁子より唐長にの歴史、現在における唐長の仕事などいろいろなお話を聞かせていただきました。またサロンでは唐紙がいたるところに現代風に使われておりとても参考になりました。今も手作りという事もあり値段は少し張りますがとても魅力的な素材と改めて認識させられました。


今回は日本の伝統的美意識のすばらしさを再認識させられた旅でした。いつもいろいろな事を教えられます。
みなさん忙しい日々とは思いますが今回参加できなかった方も機会があればぜひ参加される事をお勧めします。