カリモク家具ショールームと工場見学

 

さる3月26日今期最後のセミナーとなる「カリモクショールームと工場見学セミナー」が行われました。年度末という事も有ったと思いますが参加者は少し少なく10名でした。
カリモクのショールームと工場へのアクセスは車の場合三河方面からだと衣浦大橋を目指します。衣浦大橋を渡ればすぐに右側に工業団地が広がっています。
その中でレンガタイル貼りのひときわ高い建物がカリモクのショールームです。

さて当日の日程ですが

1)13:00 カリモクショールーム集合
2)13:00~14:00カリモク東浦工場見学
3)14:00~16:00家具についてのセミナー
4)16:00~17:30ショールーム見学

という予定でした。ただ実際にはすこしづつ伸びてカリモクショールームを後にしたのは午後6時を過ぎていたと思います。
1階から5階までのショールームはそれだけでかなりの広さがありかなり駆け足での見学でしたが、それでも長い時間を費やしました。それだけ見ごたえがあるといえます。
もし見学にいかれる場合には充分な時間を予定されたほうがいいと思います。

一番初めに工場を見学させていただきましたが機密の部分も有るという事で写真は控えさせていただきました。なのでここではお見せする事が出来ません。大まかな内容を下記に紹介します。

 

カリモクの工場では大きく次のような行程で家具を作っておられました。
1)資材工場

産地から運ばれてきた資材を木工行程に入る前に加工できるように調整し大まかにカットします。
家具は広葉樹を使う事が多いのですが国内の最大産地は北海道です。ショールームの玄関ホールにブナ、タモ、センなどの丸太が飾ってありましたがそれは想像以上に太く、わけもなく北海道はすごいと思ってしまいます。

2)木工工場

ここが僕らの家具工場のイメージとして一番近いのではないでしょうか。ここでは資材工場から運ばれてきた材料から家具の部品の形に加工します。
事前のイメージとしては工作機があちらこちらでうなりをあげ埃が舞い上がっているというようなものでしたが以外に静かで(といっても説明に貸して頂いたFMのイヤホン無しでは辛い)それにも増して驚いたのはまるで埃っぽくなくいろいろなものの上にそれが積もっていてもよさそうですがそういったことも有りませんでした。
工作自体はNC工作機がメインで働きその工作機に入れるための準備や工作機が加工したものの整理を人間が手作業で行います。
ここでは非常に綿密に合理化がされていて例えば、機械が1分行う作業がありその行程の前後の準備と整理を人間がするとすると、その1分間は人間がする事がなくなる訳です。そこにその作業とはまるで違う行程の仕事であっても入れ込めば効率よく時間が使えます。仮にその作業が1分30秒かかるとしたら機械を1分30秒に遅らせても効率がいいわけです。
とそのような話をされていました。

もう一つなるほどと思ったのはNC工作機に入れる前大まかに人間の手でカットします。工作機に初めから入れても可能なわけですが工作機の刃が非常に高価なのでなるべく負担をかけないように使うのだそうです。無駄の海を棲家にしている身には耳が痛いお話しです。

3)調整工場

ここでは木工工場で作った部品にサンドペーバーなどを掛けより精度の高いものに仕上げます。

4)組み立て工場

ここでは調整工場から送られてきたものを文字通り組み立てます。びっくりしたのは接着の仕方で接着剤を使う場合、通常かなりの時間がかかるのですが、ここでは高周波を使った接着機を使い短時間で水分を飛ばし、ものの30~40秒で本来の強度を出します。

5)塗装工場

組み立て工場から運ばれてきた製品に塗装を施します。工場内にはいわゆるシンナーのような匂いがし塗装工場である事を実感できます。そこを案内していただいた早川さんが「シンナーの匂いがしますか?」とたずねられ、「はい」とみんな答えたのですが「私にはしません」といわれたのが印象的でした。
塗装は水が流れる滝のような面の前で塗料を吹き付け行います。が当然製品にかからなかった分が有ります。その分を水の流れで処理しようというわけです。それでも残った分はその上の大きなフードから吸い出します。でもまだ処理し切れなかった分が有ります。それが工場内に漂う訳です。約2割がそうなるそうです。
塗装工場の中は空間をフルに使ってラインが一杯に組まれ、ゆっくりしたペースで製品が動いています。全長を聞いたのですが忘れました。キロの単位だったと思います。
塗装して次の工程まで行く間に乾燥させるという形になっています。ここで普通、例えば椅子なら同じ椅子が流れてくると想像しがちですが実は同じ物でなく、ほとんどめちゃくちゃな感じでいろいろなものが流れています。
どうしてかといえば今の時代一つのものが何百と注文される事はなく10~30単位なのだそうです。しかもそれぞれCOMのシステム(カスタムオーダーメイド)によりさらに多くの種類が出来てしまいます。
ただこれは仕事が複雑になるという大変な面だけでなく在庫をおかなくても良いといういい部分もあると
おしゃっていました。
塗装行程は塗装 サンドペーパー掛けを繰り返し行われます。最初の塗装後ざらついていたものが
最後にはつるつるになっていました。
色付けで以外だったのは仕上がりの色を調合し塗るのではないということです。
6-8色の色を重ねて塗り目的の色を出します。透明性の塗料なんだと思います。

塗装工場のラインの最終点には検査の係りの人が待ち構えていて厳しい検査をします。そこを無事
通過したものだけがシート貼などの最後の行程をを経てお客さんのもとに届けられます。
通過できなかったものは再度悪い部分の補修をされます。この日には不合格の製品置場には一つも
有りませんでした。
「いくつかここに並んでいて恥ずかしく思うことも有るんですよ。」と早川さんがおっしゃておられま
した。

6)シート貼 梱包

乾燥工場から流れてきた製品にシーとを張ったり、最後梱包して出荷できる状態にします。シートなどはカリモクの中ではなくその周りに立地している関連工場から運び込まれます。カリモクがスペックを指定また開発しそれらの工場に作ってもらっているのだそうです。

ここではいわゆるベルトコンベアー式に製品が流れてきて仕上げてゆく訳ですが前記したように、ほとんど無秩序にいろいろなものが流れてきます。シート貼もさることながら梱包はダンボール箱を作るところから始めますから流れてくる製品を見て何かすぐに見極めなければなりません。
いろいろなところに名人、職人と呼ばれる人は居るんだなーというのが実感です。